Hard Rock Cafe (HRC) は1971年6月14日、アイザック・ティグレットおよびピーター・モートンによってロンドンにその１号店がオープンしました。アメリカ料理とロックンロール、そして親しみやすいサービスを特徴とするこの店の１号店が、アメリカでなくロンドンに開店したという事実はある意味驚きに値しますが、店は評判を呼び、二人は世界規模での同店の展開を決意します。

まずアメリカ本土のミシシッピー川を境界として、東側をティグレットのHard Rock International (HRI)、西側をモートンのHard Rock America (HRA)が担当することとなり、1982年まずロサンゼルスに２号店が、次いで1984年にニューヨーク、サンフランシスコとその後順調に店舗数を増やしていきました。また、これらHRI・HRAの直営店とは別にフランチャイズ形式での出店も始まり、その最初として東京店が1983年7月4日に開店しました。

ティグレットはその後HRIをMecca Leisure社に売却。同社は1990年、ロンドンに本拠を置くThe Rank Group, Plc (Rank)に吸収合併されました。その後RankはモートンからHRAを買収、更にHRIやHRAとは別にカナダ国内および中東等で展開していたHard Rock Canada GroupをNick Bitoveから買収しました。このことによってRankは、Hard Rock Cafeの商標を統合するとともにHard Rock Cafeの名で営業していた店舗のほとんどをそのコントロール下におくことになりました。その後、正式契約を結ばずに営業を続けていた店舗の買収を進めるなどし、40近い国で100を越えるHRCを展開する規模にまで拡大しました。

一方、HRAを売却したモートンは、ホテル事業を展開する事になり、1995年3月9日、Hard Rock Hotel (HRH) Las Vegas がオープンしました。HRH Las VegasはHRCとほぼ同じデザインのロゴを用いていましたが、その使用に関しHRIとの間で問題が生じたと伝えられ、ロゴの上の『Save the Planet』の文字が削除されるなどの変化が確認されています。

2004年、フロリダの原住民団体であるSeminole Tribe of Floridaは、HRIとの契約の元、フロリダ州に2つのHard Rock Hotel and Casinoをオープンしました。そして2007年3月Seminole Tribe of FloridaはHRIを買収し、経営権を握って現在に至ります。買収に伴ってHRCのロゴからも『Save the Planet』が無くなり、立体的だったロゴが平面的になるなどの変化も見られます。Seminole Tribe of Floridaの傘下となったHRIがどのように変化していくのか注目したいと思います。

日本では、WDIがフランチャイズ契約で過去計9店を展開、うち神戸店が惜しくも閉店となりましたが、2009年2月現在8店舗が営業中です。